前置きとして、Cities: Skylinesの自作MODの更新が発端になったので、そこから書きます。
先日発表されたSnowfallですが、事前にMODを利用してくださっているユーザーさんから「Snowfallで登場するTramとかHeatingとかに対応するつもりあんのかな、α版から贔屓にしてやってんだぞ(だから当然対応しろよな)(意訳)」的なお声を頂戴してしまっていたので、そりゃもう震えあがって発表直後の日本時間深夜からコードの解析に入りました。
その結果、幸いAfter Darkの時と同様なつくり、つまりvanilla部分にほとんどのコードが置かれていることが判明したので、追加量が多くて作業時間そのものはかかったものの、滞りなくmodの更新を済ませることができました。
この段階ではまだ日本語化作業は開始もされていない様子だったので、自作MODも英語版だけでテストしてリリースしました。
わざわざ「英語版でテスト」などと特筆するというのは、自作のMODは表示する文字列は一応多国語に対応していて、文字列IDが振られている文字列を組み合わせて自分が望む文字列を作り出すということをやっているので、テストしないとどんな文字列が出てくるか知れたものではないからです。もちろん英語が最優先ですが、私の母語は日本語なので、日本語でも違和感なく表示された方がいいわけです。
まあ、まだ日本語化作業が開始もされてない状況なので、当分ほっとくか、と思っていた矢先、翌日だか翌々日だったか、「あんたのMODなんかおかしいぞ(意訳)」という報告をいただいたため早速調査をすることにしたのですが、ふと「そろそろ開始くらいはされたかな?」と作業所をのぞいてみると、依然開始されていませんでした。
ユーザさんがおかしいというのだから何が問題があるはずなのでMODの更新が必要になるわけですが、さらにその後日本語化がされたとして、文言が合わなかったら日本語に対応するだけの更新をするのもなんだか気が引けるので、せめて自身で「翻訳されたとしてもこうなるはずだからこのIDは使えるな」という文字列を探そうと思って、ふと気づきました。
バイナリのロケールファイルの展開方法が分からない。
ありゃあ、そこから調べないとだめかぁ、と思ってMODのどこが変なのか調査しながら、片手間にちょこちょこen.localeファイルの開き方を少しづつ調べたりしているうちに、作業所のスプレッドシートに1.3.0用の文字列のデータの更新を始めてくれた(BOLDにした理由は後程触れます)方が現れたため、これは渡りに船と見に行ってみると、結構な量の翻訳対象テキストが追加されていたものの、ほとんど空欄のままの状況で、せいぜいTRAMがトラムと訳されている程度。
さすがに最近シートに追加され始めたばかりですから、翻訳作業に携わる人もあまり集まっていない様子です。
こりゃあイカン、こんなんじゃリリースされるのいつになるかわからんと思うと、日頃利用させていただいている感謝もあり、ここは一気に翻訳しちゃおう、と思い立ち、バグ探しそっちのけで翻訳に取り組むことにしました。
この手の作業は、とにかく空欄を埋めることが肝要だと思っています。
そうすれば口だけ野郎とかがいくら喧々囂々の用語論争をしようが大抵の場合は「とにかく完成したんだから一度リリースしよう」ということになるからです。
もちろん、侃々諤々なら大いに価値があるんですけど、たいていは喧々囂々のほうで終始してこの駄文以上にとりとめがないのですよね。
ですので、まずは着手し、どういう形であれ、形を作る。これが重要だと思います。
特に不特定多数が集まるリーダー不在のプロジェクトの場合は事前に相談しようものなら収拾がつかなくなること請け合いです。
「こうしてみたんだけどどうかな?」なら前に進めますが、「こうしたいんだけどどうだろう?」は絶対ダメです。裁定者がいないからです。
何にせよ埋めておけば、それを叩き台にしてより良い翻訳を考案することができます。
手直しのほうがずっと難易度も敷居も低いですから、それだけ多くの人に添削してもらえるわけです。
そのため、もう既にMODのSnowfall対応を通じて追加部分の内容はわかっているので(とはいえ運河関係の原文を見た時には咄嗟にコードを見直してしまいましたが、あれは将来のアップデート用なのかな?)、仮に原文で面倒な言い回しをしていても意訳でさらっと流し、用語のブレがあっても頓着せず、とにかく埋めることに専念しました。
尤も、Coverを覆雪としたのは評判悪いみたいですが、ともかくも訳文があれば批判もできるわけですので、今後より適切な訳語に置き換えられてゆくでしょう。
また、どうも変な訳語だとおもうものには自分の語句であれ誰かが翻訳した語句であれ、提案として私が訳語で使っている言葉とその理由をシートに記述しておき、特に変更せず第三者に判断をゆだねて時間を節約しました。
Capitalism Labと違って翻訳そのものは大変難易度が低く、SVOCの語順の強制もないので機械翻訳の出番もあまりなく、順調に翻訳を進め(といっても結局私自身の能力では何時間もかかったのですが)、ついに皆さんと協力して全部訳し切りました。
やった!翻訳率100%達成だ!よし訳文を見直すか!!
・・・見直しているうちに、ふと気づくと、翻訳率がまた100%を割っています。
えっ?
戸惑っても仕方がないので、空欄を探して再度翻訳作業を開始しました。
そして、再度100%を達成。見直し。100%を割って・・・
えっ?
しばらく見ていると、原文欄に編集中の印が出て、ペラっと、原文が追記されるのが目に入りました。さらに見ていると、ちょっと間をおいて、同様の作業が繰り返されています。
なんとシートに翻訳対象を用意してくれている方は、手作業でシートに新規和訳が必要な分を追加していたのです。
私はこれを見て思わず声をあげて感嘆してしまいました。
これだけ膨大なテキストを手作業で1セル1セル全て行うなど大変な忍耐力がなければ、とてもできることではないと思います。特に、生半可な気持ちじゃ絶対できません。
しかし、それを実際にやっている人がここにいるんだ、と思った瞬間、とても驚くと同時に、本当に頭の下がる思いでした。
ここでもうお気づきかと思いますが、先ほど「後程触れます」というBOLDで記述した一文を私は見逃していて、勝手に翻訳対象文がシートに追加「された」ものと思い込んでいたわけです。
実際には、追加を「開始」したということだったのでした。
結局私は睡魔に負けて23時でギブアップしてしまったのですが、その後、夜の一時までずっと作業を続けておられたようです。
金曜の朝9時半から実におよそ40時間。
まさかぶっ続けってことはないと思いますが、その間コツコツと作業を続けておいでになったわけです。
本当に感嘆を禁じえません。
あまりに感銘を受けたため、思わずこのような駄文を書き散らしております。
しかも、その後、朝の8時半にはja.localeをリリースしてくれるという働きぶりにはもう頭が上がりません。
ちょうど私のmodも「なんかおかしい」部分を特定し、修正して更新する直前だったので、無事日本語版での表示でも違和感がないことが確認してリリースすることができました。
本当にどうもありがとうございました。
また、僭越かつ厚顔ではありますが、今回は控えめに言っても追加分のうち半分以上は翻訳でき(もちろん手直しをいただいた訳文はいっぱいありますし、自分は特別だなんぞまるで思っていませんので念のため申し添えます)、ある程度ご恩返しができたかな、と多少の自負を致しております。
それに、Capitalism Labの作業シートでやりたかったことがすべてできました。
時間がたつにつれて参加される人も増え、ある時期からは空欄を埋める人、文が以前のバージョンと整合が取れているかチェックして修正する人、もっといい訳文に改善する人(自分の訳文が目の前で改善されてゆくのは本当に楽しかった!)、提案に対してご自分の考えを述べてくれる人(例えば雪寄場の提案を行ったところ、北海道では雪投げ場という表現もあると知り、私は「なるほど」と思いましたし、お尻がどうのこうのという文章はなんだろうな、とおもっていたら元ネタの小説があると教えられたり、こういう例をはじめとして大変勉強になりました)、本当に様々な人が同時に作業を行い、どんどん結果が積み重なってゆく様は圧巻で、その他大勢の一人としてこのような経験を得たことを大変光栄に思います。
それに、作業が実に楽しい。こればっかりは実際にやった方だけが分かる楽しみですよね。
十数時間というほんの短い間でしたが、プログラムの世界でのコミュニティへの参加とはちょっと違う、貴重な体験でした。
まあ、人の言うことをちゃんと聞かないで勝手に勘違いしたり、バグを作りこんでいたり、結局はこのblogの目的である恥の記録も達成できてしまいましたが、とにかく今回、繰り返しになりますが、シートを用意してくださった方の忍耐力とモチベーションの高さに強く感銘を受け、感謝の念とともに、このように駄文を書き散らした次第です。
ご清聴、ありがとうございました。
ちなみに、私、まだ買ってません。
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